2012年8月13日月曜日

「TPP亡国論」の大嘘 農業編 1

最近は少し沈静化してきた感じもあるTPP反対運動ですが、まだ騙されていることに気づいていない人が多いため、いくつか事実関係を整理しておきたいと思います。

騙されていた人は、騙されていたことに気付いてくれれば、それでいですし、それを責めるつもりは全くありません。(全く違う話ですが、私自身、原発や放射性物質に対する考え方などは、高田純教授や中川八洋教授の著書を読んで、随分変わりました)


問題なのは、確信犯的に有害電波を流し続ける者たちです。

すっかり極左のデマ放送番組となったチャンネル桜をはじめ、例えば次の"保守系"と多くの人から勘違いされている「懲りない面々」には本当に困ったものです。

〈自称評論家・売文業者〉

・三橋貴明
・東谷暁
・関岡英之
・渡邉哲也
・廣宮孝信
・水島総
・藤井厳喜
・小林よしのり


〈いちおう学者〉

・藤井聡
・佐伯啓思


〈元学者〉

・西部邁
・中野剛志


〈政治屋〉

・社民党、共産党の全議員。その他民主党、自民党らの中の族議員


その他数知れず。。。


利権のからむ業界団体(建設業、農協、医師会等)から、一体、どれだけカネや票が回っているんでしょうね?


彼らの主張について個々に間違いを指摘しようとすると、膨大な字数の文章を書かなければなりません。
そもそも、極めて基礎的な経済学、会計学の知識もなく、また、外交交渉のこれまでの経緯も全く知らない者が、わめき散らしているのが実態で、何が間違いかを指摘する方が大変です(ほとんど全てが間違っているため)。

三橋貴明や中野剛志のインチキ本にいたっては、「赤ペン先生」が添削をすると、間違いだらけで、全ての間違いを指摘しようとするなら、答案に書かれた字数よりも指摘する字数の方が増えてしまいます。

当ブログの読者の皆様には、解毒薬として、特に次の4冊の本を推薦したいです。


「日本の農業が必ず復活する45の理由」(浅川芳裕著、文藝春秋)



「TPPで日本は世界一の農業大国になる」(浅川芳裕著、KKベストセラーズ)



「TPPおばけ騒動と黒幕」(山下一仁著、オークラNEXT新書)



「TPP反対派が国を滅ぼす」(中川八洋著、PHP研究所)


ご紹介した浅川芳弘氏は日本の農業を支える「主業農家」向けの雑誌「月刊・農業経営者」副編集長です。
http://www.farm-biz.co.jp/

もし、本当に、日本の(主業)農家がTPP反対派ばかりなら、浅川氏は顧客を敵に回すことになり、「TPPで日本は世界一の農業大国になる」という本は出版できないでしょう。

この単純な事実一つをもってしても、TPP参加に猛反対をする農協と、主業農家の主張が大きく異なることが分かります。
つまり、TPPによって困るのは、「主業農家」「農業」ではなく、「農協」なのであり、主業農家と農協とは大きく立場も意見も異なるという事実から目を逸らすべきではないでしょう。

実際に当ブログの読者で、農業法人の経営者の方からDMを頂戴したりもしますが、「農協」と「農業」は、別モノだという印象を強く受けました。


「TPP嘘つき四人組(中野剛志、三橋貴明、東谷暁、関岡英之)」らの話を聞いていると、農協問題を農業問題に摩り替えているのがミエミエです。

日本国民の皆さん、騙されないように気をつけましょうね。

具体的な問題点は機会を改めてブログに掲載したいと思いますが、今回は浅川芳弘氏の著書のまえがき部分を引用させていただき、主業農家の声を知っていただきたいと思います。


「TPPで日本は世界一の農業大国になる」(浅川芳裕著、KKベストセラーズ)  "はじめに"より一部引用

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本書はTPP賛成本でもなければ、ましてTPP反対本でもない。そんな悠長で不毛な議論にかまっている暇はない。

本書は実際にTPPを活用するための本だ。とくに日本の農業・食産業をいかに発展させるか具体論を示す実践本である。ひいては、日本経済や国民の食生活、地域の雇用、所得をよくするための提言書でもある。世に蔓延るTPP本とはわけが違う。
TPP反対派は「農業が壊滅する」、そして「食料が足りなくなる」と農業弱体化・運命論を主張する。対するTPP推進派は「農業政策の変更が必要」で、その結果、「農業の構造改革が起こる」と農業社会工学的・運命論を展開する。どちらも同じ運命論者に変わりない。前者は、自らの空想に従って、農家がある日、全員廃業するような不吉な予感を勝手にばらまく占い師の類だ。後者は、自分の理論や政策に従属する農家たぢが突如、申し合わせたように本来の力を発揮し出すことを想定するとんだ思い上がり屋である。
両論とも農業現場をみていない机上の空論だ。プロフエツシヨナルな農業者はそんなのんきな抽象論では飯は食えない。「余計なお世話」(農家談)なのだ。
本書の答えはどちらとも見解が異なる。農業経営者たちは現場で、"この日がやって来る"こと--農業完全自由化に対し、とうの昔から準備してきたのである。



TPPは農家にとって、家業の外部要因のひとつにすぎない。関税はいずれ下がることを見越し、経営体質を強化してきた。設備や機械に長期投資を行い、個々の品目で技術革新を図ってきた。売り先を多様化し、スタッフを育成しながら、財務改善をしてきたのだ。
どんな時代が到来しようと、永続こそが農場経営の最大のミッションである。現存する農家の大半は、世代を遡れば何代、何十代と農場を継承してきた明白な歴史的実績を持つ。
そして、これから何十年、何百年とさらに継続、発展させていこうという明確な意思と遺伝子をあわせ持つ家系の主(同族オーナー経営者)たちだ。ぽっと出の反対派評論家や推進派学者たちの育ち、素性とはわけが違う。ここ数十年、跋扈してきた経団連などの大手企業のサラリーマン社長らが一農家に束になってかかっても、自然相手、複雑系の回まりである農場経営では力量、見識ともに到底かなわない。
日本の総世帯5000万のうち、農業の所得がメインの家族は40万世帯。わずか0.8%である。農産物売上が1000万円以上の経営者層に限れば14万、0 ・3%が国民の購買・消費する国産食料の60%超を生産・販売している。日本の3分の1が農家世帯であった1960年代と比べれば、100分の1だ。 一方、農家の総生産額は現在、2兆円だった当時の4倍、8兆円を超える。つまり、単純計算で約300倍の能率向上を実現済みだ。



『日本は世界5位の農業人国』(拙書、講談社)であるのも当然の帰結だ。農業は現代ニッポンにおいて、選りすぐりの超少数派・超エリート集団なのだ。農業界にいればこんな事実は当たり前である。農業機械一つとっても簡単にわかる。トラクター馬力= 20人力だ。
100馬力のトラクター台あれば、農家一人で機械化前の50、60年代の手作業2000人力の仕事ができる。
「日本農業は他国のように大規模化でないのが難点」との報道も日にする。しかし、日本の面積が米国やオーストラリアより小さいことなど小学生でも知っている。マスコミから偉そうな訓戒を垂れられなくても、農家は百も承知だ。所与の環境条件でどう勝負して生き残るかこそが農業の醍醐味、「百姓の腕の見せ所」(農家談)である。
「TPPは農業問題だけじゃない」と反論する人も多い。金融やサービス、労働……など24分野もあり、農業はその一つに過ぎない、と得意そうに語る。その程度の基本知識に関しても、農家にとって珍しくもなんともない。


(中略)


マーケットが世界に広がり、他産業の所得が向上すれば国民全体のエングル係数は下がる。多種多様な農産物ニーズが生まれ、その変化に臨機応変に対応し続けてきた成果のうえに農家経営は立脚している。同じ現象が今、アジア・太平洋諸国で起こっている現実をみつめ、「ついに俺たちの時代がきた」「TPP恐るるに足らず」と気勢を上げているのだ。



(中略)


日本農業はすでにグローバルな製造業である。農機、農薬、肥料、飼料、燃料をすべて無税で輸入し、田畑、牧場で付加価値をつけて顧客に食を提供する。「国産野菜はやっぱり美味しい」と舌鼓打っているその種でさえ、97%は日本の種苗メーカーがリスク分散しながら海外生産してきたものである。戦後、数万頭から1000万頭まで増産してきた養豚農家。 一貫して関税ゼロ環境で世界4位の花大国をつくった花農家たち。そのはるか前から、移民として海を渡り、世界各地で農業振興の礎を築いてきたのも日本の農家である。
それを前近代の尺度で農業や食料問題を我が物顔で語り、TPPがやってきたからと彼らの未来を絶望視する農水省や農協、評論家の言動は罪だ。農業を振興する使命をもっているはずの官庁・組織・識者が国民を不安に陥れている。彼らを断罪すべく、1章、2章をつかってそのウソと思惑を徹底解剖した。3章で正確な農業ビジネスの現状分析を明示し、建設的な対案を5章で提示する。


いくら農家の成長を阻害しても、成長し続けるのがヒト--農耕民族の性である。これからも自然淘汰により農家はさらに少数精鋭のマイノリティーになっていくであろう。
本書は彼らへのエールであるとともに、広く一般読者に対し、日本農業界の正味の実力、さらには世界一になれる潜在能力を叙述する伝言書でもある。未来は誰にもわからないが、事実は誰にでも伝えられる。 一口でいえば「農業経営者をなめてはいけない」ということに尽きる。だから本書の結論は単純明快だ。題名どおり「日本が世界一の農業大国になる」こと。その手段としてTPPが必要条件になる。

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(引用終わり)

農業の現場の声は、何だか、"TPP亡国論"なんかとは全然違いますね。

"TPP亡国論"を唱え、デマを流し続ける者たちの素性や思想本籍も併せて、今後、ブログで取り上げていきたいと思います。