2011年7月31日日曜日

右翼と左翼は同じ穴のムジナ

以前から感じていましたが、最近、特に酷く感じられるため、書いておきたいと思います。


日本人は保守主義と民族主義を混同しています。

以下、誠に僭越ではありますが、『近衛文麿の戦争責任』(中川八洋著、PHP研究所)内の論文を、私なりに簡潔にご紹介したいと思います(一部ブログ主により変更を加えてありますのでご了承ください)。
元々は中川先生のご著書「近衛文麿とルーズヴェルト」(PHP研究所、絶版)に収録されていた論文です。




『「軍部・右翼」は過激「左翼(革新)」』




第二次世界大戦時のドイツにおいて、「右翼」であるナチス党の正式名称は、Nationalsozialistische Deutsche Arbeiterpartei(国家社会主義労働者党)と言い、社会主義を標榜している。

一方、「左翼」であるドイツ共産党は、読んで字のごとく、共産主義を標榜している。


右翼(ナチス党)、左翼(ドイツ共産党)共に資本主義を排撃し下層階級を救済する共産主義、社会主義社会の建設を求めるものである。
ナチス党とドイツ共産党の間ではこの下層階級の支持をめぐって、激しい闘争が行われた。
(日本で1960年代に同じマルクス・レーニン主義を信奉しながら、激しい闘争を繰り返した日本共産党、全共闘系の各セクトの対立関係と同様)

では、右翼(ナチス党)と左翼(ドイツ共産党)の相違点は何か?それは、目指すユートピアが(ドイツ千年王国という)純血のドイツ民族からなるコミューン(民族主義)であるのに対し、ドイツ共産党は共産主義者によって構成されるコミューンであることに過ぎない。

しかし、マルクス・レーニン主義者を民族主義的か否かで右翼と左翼を区別するのは、現実としては妥当ではない。



なぜなら、独裁の社会主義政党は必ず民族主義を標榜することになるからである。
マルクスは「プロレタリアートは祖国を持たない」と言ったが(「共産党宣言」)、現実には全く逆のことになる。

例えば、ソ連は第二次世界大戦の独ソ戦をかつての対ナポレオン戦争(祖国戦争)になぞらえ、「大祖国戦争」と呼び、民族主義を前面に出した。
http://voenpesni.web.fc2.com/songs/Da_zdravstvuet_nasha_derzhava.html
中国共産党の毛沢東、北朝鮮の金日成、ベトナム共産党のホーチミンも同様に極度の民族主義を身にまとっている。
これらは社会主義の特徴である。


そして、これは日本にも当てはまる。
1929年からの世界大恐慌以降、帝国陸軍はマルクス・レーニン主義に傾倒する者が多く、国土を「皇土」、昭和時代を「昭和聖代」と極度な民族主義を標榜するようになったが、これはマルクス・レーニン主義を「日本主義」「国家主義」の表現で隠すためであった。

したがって、右翼は結局左翼になるのであって、政治思想を「右翼」「左翼」では分類できない。

戦後日本では社会主義体制を支持する者を「革新」といい、自由主義体制を支持する者を「保守」と呼ぶようになった(ブログ主注…現在では民族主義=保守の様相です)。
確かに左翼=革新(統制経済、全体主義)であるのは間違いないが、右翼=保守(自由主義)とはならない。
やはり、「右翼⇒左翼=革新=全体主義」 VS「 保守主義(自由主義)」の分類しかできない。


(注)

戦中、「右翼(国家社会主義者)」であった一部軍人や政治家、朝日新聞は「一億特攻」「一億玉砕」などと叫んでいたのです(一億玉砕したら日本国終了→国家の永続など考えていない)。
彼ら「右翼」は、昭和天皇のポツダム宣言受諾に反対し、「陛下の赤子」を自称しながら、終戦の玉音放送のレコード盤を強奪しようとしました。


「国家の永続」を考え、ポツダム宣言受託のご聖断をされたのが真正の保守であられた昭和天皇。それに反対し、本音は日本を解体し、社会主義国家にしよう、ソ連に貢ごう、日本人民共和国を作って、自分達は「赤い貴族」になろうと考えたのが右翼なのです。

日本の社会主義革命に失敗した彼らは、戦後、多数が共産党や社会党に入党した事実からも明らかです。朝日新聞やNHKも極右から極左へ転向しています。



(例)

・宮城事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E5%9F%8E%E4%BA%8B%E4%BB%B6


・志位正二(志位和夫・現日本共産党委員長の伯父)
関東軍参謀&ソ連のスパイ→戦後、共産党員
(関東軍は満州に侵攻してきたソ連軍とほとんど交戦せず、日本人遺留民を守っていない。なぜなら、その中枢がソ連と通謀していたから)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%97%E4%BD%8D%E6%AD%A3%E4%BA%8C


・種村佐孝
大本営参謀&ソ連のスパイ→戦後、共産党員
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A8%AE%E6%9D%91%E4%BD%90%E5%AD%9D


・瀬島龍三
大本営作戦参謀&ソ連のスパイ(小説・ドラマ「不毛地帯」の主人公)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%80%AC%E5%B3%B6%E9%BE%8D%E4%B8%89
http://www.asyura2.com/07/war95/msg/444.html

・「1954年のラストボロフ事件 において、ソビエト連邦 代表部二等書記官だったユーリー・ラストヴォロフが、亡命先のアメリカにおいて、瀬島らを第7006俘虜所において特殊工作員 として訓練された、と証言」
・東京裁判ではソ連側証人として出廷しているが、共産主義者でない限り、ソ連は証人として出廷させることはない。



私は、先の戦争で国を想い、戦ってくれた英霊に対して、深い畏敬の念を持っていますので、誤解しないでください。靖国神社にも、過去数え切れないくらい参拝に行っています。遊就館での特攻隊の遺書を見る度、涙を禁じえません(私の親類もサイパン島の43師団の一員として玉砕しています)。


しかし、上記の内容の「世界大恐慌」を「バブル崩壊」「リーマンショック」に置き換えると、そっくりそのまま、今の日本と同じ状況であると思えてきます。

右翼も左翼も、市場経済を憎悪し、統制経済体制(全体主義へ必然的に至る道)を支持する点で全く共通しています。


市場という、古くからどこの国にも普遍的にある自然法則のようなものを、人間の理性で強引に曲げることなど、不可能です。それをやった結果が第二次大戦の悲劇であり、ソ連や共産中国、北朝鮮、カンボジアの悲劇であると思っています。
右翼や左翼の主張する統制経済はルソーやマルクスに代表される理性主義の発露に他なりません。


例えば、国債を刷りまくれと主張する三橋貴明氏らの言説は、ありもしないユートピアへ向かわせ、悲劇を巻き起こす火種になるものだと思います。
そして、彼が単に本を売りたがっているだけならまだしも、麻生元首相や西田昌司議員らも同じようなことを言い始めていることに大変な危機感を持っています(ゲッペルスの「嘘も百回言えば真実になる」「大きな嘘ほど大衆は疑わない」を実行していますね。。。)


このような主張をし、ありもしない経済学やマーケットに関する知識を粉飾する行為は、虚言癖のあるような人格破綻者でしか出来ないと思っています。
私の推測は、おそらく、ほぼ当たっているのではないでしょうか?

また、三橋氏以上に過激に自由主義経済を嫌悪する西部邁氏の思想本籍が極左であり、その証拠も多数あります。

機会を改めて掲載していきますが、読者の皆様には、この統制経済が全体主義に至る危険性を分かっていただきたいと思います。