より続き
さて、中野剛志のインチキ動画検証シリーズも、ようやく今回で最終回です。
〈7分30秒~〉
『TPPは必ずしも日本の有利になるようなルール作りができるかどうか分からない』
この人物の頭の中には、市場経済というものの本質がまるで分かっていないようです。
中野剛志や三橋貴明の本を読むと、チラホラとハイエクの名を散見しますが、全く読まずに知ったかぶりをしている証拠です。
以前にも書きましたが、
『生産手段の管理が独立活動をする多数の人々に分割されているからこそ、誰も人々の運命を左右する完全な権力を持ち得ないし、人々はそれぞれ自分がどうやっていくかを決定することができる』(ハイエク「隷属への道」春秋社、133頁)
という、私有財産制、資本主義が、自由を守るという基本が全く分かっていないようです。
確かに、目先は「日本が有利になりそう」「アメリカが有利になりそう」といったルールの議論はあるでしょうが、重要なことは、こういうことなのではないでしょうか?
『「法の支配」が有効に働くためには、それがどんなことかという以上に、常に例外なく適用されるルールが存在していなければならないということの方が、はるかに重要であると言っていいだろう。同じルールが広く施行されさえすれば、その中身の問題は二次的な重要性しか持たない。先に挙げた自動車の例で言えば、全員が同様にするなら、右側通行か左側通行かは問題にならないということである。ここで重要なことは、ルールは、他者がどのように行動するかを正確に予測させるということであり、だからこそ、例外なしに適用されなければならないのだ--例えそれが正義に反するように思えることがあったとしても』(ハイエク「隷属への道」春秋社、102頁)
分かりやすい実例を挙げます。
悪名高き日米自動車協議(外務省HPより)
日米自動車・同部品協議決着の概要
(以下、一部抜粋)
(1)外国車の対日市場・アクセス促進のための措置
(a)競合車種取扱いの自由に関する関係事業者団体の声明に係る日本政府による支持及び通知の発出
(b)日米両国政府及び両国企業間における連絡担当者の指定等に係る日本政府による歓迎
(c)ジェトロを通じた展示会開催に対する日本政府による財政支援、輸入促進事業に対する日本政府による金融面の支援等
(d)米国企業の対日輸出促準、競争力強化のための努力に対する米国政府による支持
この当時(1995年)、米国(というか全米自動車労組を支持母体としたクリントン政権)は日本政府に対して数値目標を迫るなど、それこそ保護貿易を押し付けてきましたが、それから10年もしないうちに日本車は米国市場を席巻、2007年にはトヨタがGMを抜いて世界生産台数一位となり、2009年には、ビッグスリーのうち2社が倒産。
生き残りたければ、自助努力が必要であり、政府の圧力を使って恣意的にマーケットの操作をしようとしても、長くは続かないことの典型例です。
〈11分00秒~〉
『オバマ大統領は2012年の大統領選挙に向けてのアピールポイントにしたい』
『日本が交渉参加を表明したら、オバマはガッツポーズをする』
⇒中野剛志亡国論 3 TPP反対屋の巧妙な手口・ダマしの数々②
でも述べましたが、米国ではほとんど報道はありません。
「TPPって何?」って状態です。試しにFacebookで在米の人に聞いてみてもいいし、googleで調べてみてもいい。
ちなみにTwitterで #TPP と検索すると、ヒットするのは日本人の抗議文ばかり!
中野剛志-三橋貴明-東谷暁-関岡英之-チャンネル桜のラインは、要するに資本家を打倒して、社会主義国家の建設をしたいんでしょうね。
〈12分30秒~〉
『TPPに一旦参加表明すると、その後、日本の政治家はアメリカにおじけづいて「反対!」と言えなくなる(西田昌司のみ例外らしい)』
TPP参加表明後も、TPP反対派は意気軒昂ですな!
口蹄疫の際、失態を演じ続けた山田正彦・前農水大臣
(2012年1月18日 日本記者クラブ)
〈13分20秒~〉
『TPP推進論者は売国奴。BKD48だ!』
麻生太郎氏 TPP参加に前向き
安倍晋三氏 TPP参加に前向き
石破茂氏 TPP参加に前向き
http://ishiba-shigeru.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/tpp-4a0a.html
『外交交渉についての見識や能力を持たない民主党政権による交渉入りには、まさしくその理由により否定的にならざるを得ませんが、私は交渉自体を否定する立場には立ちません』
中野剛志は、税金の無駄食いをしつつ、国民をミスリードするアジテーターですね。
懲戒免職されるべきでしょう。
第七十八条 職員が、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、人事院規則の定めるところにより、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。
一 人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合
二 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
三 その他その官職に必要な適格性を欠く場合
四 官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合
この一冊で、詐欺師の言説から身を守ることができます。
全部で15章ありますから、一日一章ずつ読んでも2週間程度で読み終えることができます。
チャンネル桜の番組を見たり、デモや集会に参加したりする時間の一割でも良いから、賢者の著書を直接読むべきでしょう。
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(中野剛志の動画検証シリーズはこれにて一旦終了)
はじめまして。たまに拝見させていただいでます。皇室に対する想いは私もほぼ同意見です。
返信削除私自身は経済については疎いのを自覚しています。さて、既出かもしれませんが、中野さんは通産官僚でした。どういう事かというと、岸信介さんは商工省官僚の大アジア主義だったという事です。
満洲国の基本国策となる1932年6月の「満州経済統制策」33年「満州国経済建設綱要」は、満州国の産業を国家統制の下におく。しかし、産業全体を国家統制するのでなく、重要産業は国家統制にそれに準ずるものは法律や株主派遣でコントロールし、それ以外の産業は自由競争に委ねるというものでした。(ちなみに、尾崎秀美も満鉄調査部でした)
そして、これは内地の戦時計画経済(企業家・一部右翼からアカと批判されてます)に受け継がれ、さらには戦後、岸と満鉄・満州人脈によって、傾斜生産方式(マルクス資本論の拡大再生産の発想)・護送船団方式にみられる、官僚統制経済に受け継がれています。つまり、中野さんはこういったエキスを濃く受け継いでいるのではないでしょうか?
まず、最低限、挨拶ぐらいはしましょう。
返信削除貴殿の話は、抽象的すぎて、具体例も、根拠も出さず、議論になりません。
ハイエクを真に受けてる時点でダメ。
返信削除自由が自由を抑圧する逆説を結局誤魔化してるのだから。
TPPについては、現実の政治力学を前提にすれば「ルールの公平さの問題」以前に「ルール選択の公平さの問題」があることを無視すべきではない。